看護師として患者さんの心電図を正しく判読することができれば、緊急性の高い不整脈や虚血性心疾患などを迅速に把握することが可能となります。
例えば、死に至る可能性が高い不整脈の現象などを的確に見抜くことができれば、勤務先において非常に重宝される存在になれます。
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心電図の判読を苦手に感じる看護師は多い
しかし、実際に病院施設で勤務している看護師の大半が
心電図を判読することを苦手に感じています。
看護学校のカリキュラムにおいても、心電図の判読に関する単独のテーマは用意されていません。循環器疾患の授業において、教師からサラッと教えられる程度となっています。
そのため、心電図において表面的な知識しか得ることができず、看護師として臨床現場で勤務することになっても看護学校で学んだ知識が全然役に立ちません。
経験を積むことでスキルが身につく
また、心電図の判読が難しいという感じる理由は、単に知識を詰め込むだけでは対応することができないという点です。
医学、看護書コーナーに陳列されている心電図関連の書籍も数多くありますが、本をたくさん読んでもなかなか心電図の判読スキルがアップするのは難しいです。
やはり、
実際に心電図を自分の目で判読する経験を積まなければスキルを身に付けることはできません。
心電図の基本
心電図の波形は電極を付けた部位によって多少異なりますが、
基本的には「P波」「R波」「T波」の3つの波から形成されています。
小さなドーム状の波を「P波」と呼びます。その次に尖った背の高い形の波を「R波」と呼びます。
そして、やや大きなドーム状の波を「T波」と呼びます。心電図の波形ではこれらの3つの波が繰り返して形成されています。
また、R波の前後には小さな下向きの波「Q波」と「S波」が存在します。前後のQ波とS波を合わせたR波をまとめて「QRS波」と呼ぶことがあります。
ちなみに12誘導心電図においては、このQ波とS波が見えやすい誘導と見えにくい誘導があります。
心臓が収縮・弛緩を繰り返す仕組
心臓が収縮・弛緩を繰り返す仕組みは、下記で紹介している動作を繰り返しているためです。
1)洞結節にスイッチが入ります
2)電流が心房を流れていき、房室結節に入ります
3)心室内の電線(左脚と右脚)に電流が流れて、心臓が収縮します(脱分極の状態)
4)電流の流れが一時的に途絶えると、心臓が弛緩します(再分極の状態)
このように電気の流れが変化するにつれて、P波・QRS波・T波が形成されます。
上記の心臓が収縮・弛緩をくり返す仕組みに当てはまめると、
1)洞結節にスイッチが入ることでP波が発生します
2)電流が心房から房室結節に流れる状態がP波の始まりからQ波の始まりまで(PQ時間)となります
3)心室に電気が流れて心臓が収縮する状態がQRS波です
4)心臓が弛緩する際にT波が形成されます
という関係性となります。
では、心電図で表示される各波に関してさらに詳しくみていきましょう。
P波の変化
P波は不整脈をチェックする際に重要な波形となります。
心電図に示されるP波の有無によって心房にある心臓のスイッチが入ったかどうかが確認することができます。
例えば、心電図上でP波が確認できなくてR波のみが出ていれば、心房内のスイッチが入らなくて房室結節、あるいは心室から収縮の刺激が始まったことが推測できます。
その結果、洞結節に異常があることが判断できます。
また、P波の形が変化している場合においては、心房内のスイッチは正しく入っていても、心房の中でスイッチの場所が移動していたり、弁膜症などで心房が大きくなっているケースが心電図から推測できます。
P波からQ波まで
P波からQ波までの時間のことをPQ時間と呼びます。簡単に説明すると、PQ時間は心房内のスイッチが入ってから電気が心室に入るまでの時間を意味します。
心室の直前には房室結節があり、房室結節は電気の通り道にあり予備スイッチの働きをします。
つまり、PQ時間は電気が洞結節から房室結節まで流れていく時間を表しています。
例えば、PQ時間が正常値(0.12秒~0.20秒)よりも長い場合は、心房から心室までの電気の通りが悪くなり、時間が長くかかっていることが推測できます。
逆にPQ時間が正常値よりも短縮しているケースもあります。短縮しているケースにおいては電線の中を通常よりも早く電気が流れることは考えられないため、他の電気の通り道を通って時間が短くなっていると推測できます。
R波の変化
R波は心臓が収縮するときの電気の流れを表しています。R波が正常値よりも高い場合は電気の流れる力が強いことを表しているので、心肥大の症状を疑いましょう。
肥大した心筋は虚血を伴います。また、
一般的な左室肥大はR波増高だけでなく、虚血性ST-T変化を同時に確認できるケースが多いです。
また、R波の増高のみで虚血性ST-T変化が確認できない場合は、左室肥大の疑いと診断されます。
QRS波の変化
QRS波では幅の大きさに注目して判読していきます。一般的にQRS波の幅が大きく変化するのは、心室の中の電気の流れが悪くなっていて、時間が長くかかるケースです。
主に脚ブロックと冠動脈硬化による強い心筋の血流障害という2つが原因だと考えられます。
脚ブロックの場合は電線である右脚や左脚の電気の通りが悪くなるために幅が広くなる傾向があります。
脚ブロックでは、左脚ブロックと右脚ブロックがあります。
右脚ブロックは頻繁に確認される事例でそれほど心配する必要はありません。一方で左脚ブロックに関しては動脈硬化などによる心筋障害が原因で引き起こるもので注意が必要です。
また、高度の動脈硬化によって血液の流れが悪くなり、心筋自体が広範囲に障害を受けた場合においてもQRS波の幅が広くなります。
高度の心筋虚血では、Q波やS波の幅が広くなり、さらに下向きに深くなる特徴があるので、心電図を確認する際にはチェックしておいて下さい。
ST部分の変化
ST部分は小さな下向きのS波が水平に変わる箇所を意味します。ST部分は水平な基線と同じ水準に位置している状態が正常です。
ST上昇
ST部分が上がるケースにおいては、心筋梗塞の発作時が一番多いのですが、心膜炎の際にもSTは上がります。
どちらの場合もSTは上がりますが、微妙に形が異なるので心電図の判読に慣れてくると簡単に区別ができるようになります。
ST下降
ST部分が基線よりも下がっている場合は心筋虚血を疑いましょう。
例えば、動脈硬化が原因で引き起こる労作性狭心症の発作がある際にはSTが著しく下がり、発作が治まると通常の基線に戻ります。
また、心筋虚血や狭心症の場合にはSTが水平、あるいは右下がりに下がっています。
T波の変化
通常、T波は上向きで表示されていますが、正常値よりも尖って高くなったり、平坦になったり、あるいは下向きになったりすると異常と判断します。
T波が上向きに先鋭で確認された際は、急性心筋梗塞や高カリウム血症の疑いがあります。
その逆に正常値よりも先鋭で大きな下向きのT波が確認できた場合は、肥大型心筋症を疑いましょう。
また、陰性T波にST降下が同時に確認できた場合は、狭心症の発作や心肥大、心筋虚血などを疑ってください。
QT時間
QT時間が正常値よりも延長している場合は、T波が遅れて心臓の興奮が延長していることを表しています。
QTが延長することによって、心室細動という重篤な不整脈が起こりやすくなるため、突然死の原因になる恐れがあるので、看護師して心電図を判読する際は十分に気を付けてください。
ちなみにQT時間の評価においては、心拍数で補正されたQTc時間で実施されます。
あきらめずにマスターしよう
心電図の基本的な特徴を簡単に紹介しました。
当然のことですが、上記で説明してきた内容をマスターするだけでは実際の現場では通用しません。
実際に患者さんの心電図を何回も判読しながら、さまざまなパターンを見ていくうちに、徐々に正確に心電図を読み解くスキルが身についていきます。
心電図の判読は難しいですが、あきらめずに経験を積んでぜひあなたもマスターしてください^^
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